2021年9月20日(月・祝日)に行われた”K-1 WORLD GP 2021 JAPAN~よこはまつり~“。第2代ウェルター級王座決定トーナメントは順当に”野杁VS安保”決勝となりましたが、優勝は”野杁正明”選手が圧巻の3試合連続KOで制しましたね。
このトーナメントも、前回アップした内容にて、試合展開および勝ち上がりの展開を含めて、事前予想をしておりました。
予想結果としては、1回戦「小嶋瑠久 vs 寧仁太・アリ 戦」の勝利予想は外しました。また試合展開の流れの予想に関してはあんまり当たりませんでしたが、最終的な結果としてその他の試合の勝ちあがり予想、ならびに「決勝は”野杁VS安保”」「決勝戦の結果は3ラウンドKOで野杁選手の優勝」というメイン部分に関しては正解!という結果となりました。
今回はこの予想結果を踏まえて、このトーナメントの振り返りをしていきます。
目次
“第2代ウェルター級王座決定トーナメント”振り返り<“野杁VS安保”、他>
終わってみれば、野杁選手が事前に口にしていた「圧倒的に勝つ」「3試合ともKOで勝つ」との宣言どおり、「怪物」との異名に相応しい強さを見せての優勝でしたね。
しかも、今月の頭頃に足の筋断裂を言う負傷を負っていて、歩けず練習も出来なかったとのこと。
そんな状態での”有言実行”。ホント、怪物としか言いようがない。。。
では、1回戦から振り返っていきます。
小嶋瑠久 vs 寧仁太・アリ 試合結果
寧仁太選手の躍動感のある伸びのある攻撃(右ストレートや顔面への飛びヒザ蹴り)は、往年のk-1レジェンド:レミー・ボンヤスキーを彷彿とさせてますね。
かたや、小嶋瑠久もパンチとローキックのコンビネーションでしっかり応戦して、2ラウンドには上段後ろ回し蹴り3連発などの見せ場を作り、一進一退のスリリングな攻防。しかし寧仁太選手の派手な攻撃のほうが印象が良く、3R判定勝利!
寧仁太選手、この階級で随一のフレームの大きさ&身体能力の高さでさらに小嶋選手のパンチをスリッピングアウェー(パンチが伸びる方向と同じ方向に顔を背けるようにして受け流し、パンチをかわしたり、衝撃を和らげる高等技術)でいなすなどの選手の良さも見せて、将来が恐ろしい選手なんですが、この1回戦ではローのカットが甘く、蹴りに対しての対応の甘さが見られました。
小嶋選手、自分では寧仁太選手に勝つと予想してました。実際、凄い良かったんですけど、寧仁太選手の長いパンチを貰い過ぎましたね。
あれをもう少ししっかり裁いて、中に入ったうえでスクランブル状態に持ち込む場面をもっと多く出来れば、勝敗が逆だったかも。。。判定では負けてしまったとはいえ、ナイスファイトでした!
野杁正明 VS FUMIYA 試合結果
FUMIYA選手はのっけから大きなパンチやミドルキック、そして得意のバックキックやバックブローでで攻勢をかけるも、野杁選手はブロッキングをで的確にディフェンスしつつ圧力をかけロープ際まで追い込み、左ストレートであごを捉え最初のダウン。
そのあともダメージのあるFUMIYA選手にパンチラッシュをかけて2ダウン目を奪取してKO勝ち。この辺は、完全に展開まで含めて自分の予想通りでした!
FUMIYA選手は1発の攻撃力はしっかりあって、フォームも綺麗。とはいえ、コンボも上位戦線で闘っていくには、ディフェンス能力の向上、特にパンチのブロッキング技術を磨く必要があるのかなーと。
安保瑠輝也 vs アラン・ソアレス 試合結果
アラン選手は7月の前戦の印象から、安保選手の相手としては格下過ぎるとの予想しておりましたが、得意の2段蹴りハイキックをクリーンヒットしてワンダウン⇒何とか立ち上がったアラン選手から安保選手は左ミドル⇒左フックのコンビネーションで2ダウン目を奪取して、わずか31秒でKO勝ち!
あまりにも短すぎた試合だったため、安保選手がどれだけ成長したかという点は、この試合では見えませんでしたね。
松岡力 VS マキ・ドゥワンソンポン 試合結果
ここまでの激しい攻め合いとは打って変わって、まるでムエタイの序盤のような静かな展開。とはいえ、両者しっかり集中したうえでのミドルの蹴り合いは、決して退屈ではなかったです。
2ラウンド序盤もミドルの蹴り合いから始まるも、そこにストレート系のパンチもしっかり当て始めた松岡選手が徐々に攻勢を強め、ハイキックなどの高い蹴りやヒザ蹴りも織り交ぜたのちのパンチラッシュで1ダウン奪取。そしてダメージの深くなったドゥワンソンポン選手へトドメのパンチラッシュを決めて2ラウンド3分ギリギリで2ダウン目を奪取してのKO勝利!
松岡選手、しっかり相手の攻撃が見えていて、フェイントをしっかり織り交ぜながらの攻防が出来ていて、一筋縄ではいかない強さ。テクニック合戦で判定までもつれ込むかなーという予想でしたが、しっかりと殺傷能力の高さも見せつけての勝利。安保選手、苦戦するかもと思いました。
※この時点で安保選手の苦戦と、野杁選手のスムーズな勝ち上がりを予想していた自分。我ながら、センスいいw
寧仁太・アリ vs 野杁正明 試合結果
小嶋選手勝ち上がりを予想してましたが、潜在能力の高さを見せつけた寧仁太選手が準決勝進出。1回戦では小嶋選手のローキックを不用意にもらい続けていたので、野杁選手はそこを見逃さず付いてくるだろうなと思ってました。
そして案の定、ローキック、カーフキックなど下段の蹴り中心の攻めの野杁選手。寧仁太選手もそこに反応してしっかりローを返すけど、野杁選手は左のインローと同じ軌道を描いた「左の三日月蹴り」を腹に効かせ、そこから怒涛のボディ攻め。最後は左ボディをめり込ませ、2ダウンを奪取して2戦連続1ラウンドKO勝利!
寧仁太選手、将来的にはk-1のエース候補になり得る逸材だと思いますが、まだまだ経験と修練が必要。でも2-3年後には安保選手あたりと肩を並べて、ウエルター~スーパーウェルター戦線の覇を競いあってる可能性は高いかなーと思います。あのフレームの大きさ(184cmの高身長、足の長さ、腕の長さ)と、身体能力の高さ(ジャンプ力)、センスの良さは、このまま順調に成長すれば相当な脅威になりますね!
安保瑠輝也 vs 松岡力 試合結果
下馬評では安保選手が圧倒との予想だろうけど、自分は事前予想でも言っていた通り、かなり競った展開になりました。
ミドルを中心とした超~中距離の蹴り合いは互角の展開。圧倒的な攻撃力とラッシュ力の安保選手ですが、松岡選手はしっかりカウンターを狙っている気配で、中々打ち合いにはなりません。
しかしその均衡を崩して、ガッツリ踏み込んだ安保選手のワンツーが松岡選手を捉え、1ダウンを先取。そのまま2ダウン目を取りたい安保選手だが、しっかり立て直して、ミドルで距離をとる松岡選手が安保選手の構成を許さず、1ラウンドは終了。
そして2ラウンド目は、立て直した松岡選手が安保選手に圧をかけるタイミングが多くなる。しっかり見てカウンターを狙う松岡選手の圧に、安保選手は入りづらそう。時折、殺傷能力の高いパンチが交錯するも、お互いにクリーンヒットを許さない。バチバチに手数が多いわけではないが、お互いの「出さない攻撃」が交錯し、緊張感のある展開。両者互角の状態で、2ラウンド終了。
最終3ラウンドは、ダウンを取り返すべく松岡選手が前に出て、圧をかけ続け、なかなか手が出せない安保選手。しかしラウンド中盤に松岡選手の手のフェイントの合間を縫って、安保選手のノーモーションの左パンチが松岡選手のあごを捉え、1ラウンド目以来のダウンを奪取。そのままラッシュの左ボディで2ダウン目を追加し、KO勝ちで安保選手が決勝へ!
安保瑠輝也 vs 野杁正明 試合結果
多くの方が予想する通りの、順当ともいえる組み合わせの決勝戦。両者とも2回連続KOで勝ち上がったものの、ここまでよりシビアな戦いを強いられたのは、松岡選手との神経戦を制した安保選手の方か?
準決勝までは1ラウンド2ノックダウンでKOとなるが、決勝は1ラウンド3ノックダウン制。
安保選手は野杁選手を中心に回りながら距離をとり、長いパンチを手数多く繰り出し、その合間にさらに飛びヒザ、バックスピンキックなどの大技をちりばめて、距離を詰めさせない作戦。
それに対して野杁選手選手はこれまでの試合展開同様、ローキック、カーフキックなど下段の蹴りを中心に、固くブロッキングしつつ圧をかけながらじりじりと前に出る。ほぼ互角の展開だが、安保選手の攻撃のほうが大きくて派手な分、ジャッジは安保選手に付けるかもなー、と思いました。
2Rも1Rと同様の展開。安保選手が派手な攻撃を見せるも野杁選手はブロッキングを崩さず、じわじわとカーフを効かせている様にも見えます。
そして、3ラウンド。胴回し回転蹴りや飛びヒザなど派手な技をちりばめつつ、パンチラッシュ中心で攻める安保選手に対し、野杁選手が1ラウンドから地道に蹴り続けたカーフキックが明らかに効き始め、安保選手はサウスポーへのスイッチが多くなる。
ここから、野杁選手は圧を強め、上下のショーとパンチにロー、ヒザを絡めた得意の近距離ラッシュ。安保選手もパンチでのラッシュで対応するも、野杁選手の鋭い左ボディが安保選手の脇腹をえぐり、安保選手はついにダウン!
安保選手、何とか立ち上がるも、今度は左ボディでダメージのある右の脇腹に、野杁選手は左の三日月蹴りで追撃を叩き込み、2ダウン目。
さらに、気合で立ち上がる安保選手。そこにさらに、再度のボディへの左の三日月蹴り!非情なボディ攻めで3ノックダウン目を奪取し、野杁選手のKO勝利!
恐ろしいまでの強さを見せつけての、3連続KOショー。もともと攻撃のバランスの良さと的確さ、ブロッキングの堅さなど、すでに完成された強さを持った野杁選手でした。
ここ最近の試合はフィジカルが強くてタフな外国人選手相手にKOで倒さない試合が続いていて、その「倒せない」という評価を払しょくするためにフィジカルを強化して、さらに「殺傷能力」がアップした模様。
もう、いまだったら「ピケオー選手」にも、勝てそうな気がします。。。まだコロナが収まってないので、強豪外国人の招聘は先かもしれませんが、日本を代表するメジャーリーガー級の選手として、世界トップ戦線に絡んで欲しいものです!
というわけで、K-1 第2代ウェルター級王座決定トーナメント の振り返りは以上です!
また、本ブログではk-1やRISEを中心に、キックボクシングに関する記事を更新中です。よろしければ、覗いてやってください。
でわでわ!
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